企画展 2F 生誕100周年記念 アプリケ作家 宮脇綾子の世界

2004.6.26 [土] - 8.29 [日]

「美しいものを見て、美しいと思う。その感動を私は布へ持っていった」-作者のことばより-
このままなにもせずに死んでしまってはつまらない。何か魂の打ち込めることをしてみたい-良き妻、良き母であった宮脇綾子は、終戦後の慎ましくも解放感にあふれる日々の中でアプリケの創作をはじめました。
アプリケは、布の上に別の形に切った布をのせてイメージを創造する手法です。綾子は使い古した布を心からいとおしみ、その色や文様や織りの質感を活かしながら思いがけない新しいかたちを生みだしていきました。
綾子の作品には、事物をいきいきととらえるまなざし、ユーモラスで詩情豊かなアイデア、つくることの喜び、手仕事のぬくもりが息づいており、創作活動の原点が、素材と作り手との幸福な出会いにあることをあらためて実感させてくれます。
また家庭を守りながらひたむきな努力を重ね、日常生活によせる愛情を創作のエネルギーとした生き方は、これまでにも女性を中心とする多くの人々を魅了してきました。
本展では初期から晩年にいたるアプリケの代表作や、温かな人柄がしのばれる品々によって、宮脇綾子の全貌にせまります。

作品の特色

宮脇綾子が用いるのは使い古された布の端切れです。古着や布団はもちろん、コーヒーフィルターや畳縁まで、綾子にとって廃品となる布はありません。
作品のモチーフは、魚、果物、野菜、庭に咲く草花など、生活感にあふれる素材です。しかしその作品を特色づけているのは、素材に向ける綾子の鋭い観察眼そのものといっていいでしょう。画家であった夫から自然をよく観察することを学んだ綾子は、つねに新鮮な喜びと驚きをもって身近にある自然の造形のすばらしさを見いだし、そこから得た非凡な発想をユニークな造形に結びつけています。自然を愛し、布をいとおしみ、創る喜びを味わうというだけではなく、人のやらないことをやってみたいという意欲がどの作品からも伝わってきます。
どの作品にも「あ」というサインが縫い込まれています。これは、「綾子の《あ》、アップリケの《あ》、ものに感動した時の驚きの《あ》」であると綾子は語っています。

会期

2004.6.26 [土] - 8.29 [日]

休館日

月曜日(7月19日は開館)、7月20日(火)

開館時間

10:00~17:30  (入場は閉館の30分前まで)

観覧料

一般800円(640円)、大高生640円(520円)
※( )内は20名以上の団体料金。
※中学生以下と65歳以上、障害者手帳をお持ちの方(付き添い1名を含む)はいずれも無料です。展覧会入場時に確認いたしますので
・65歳以上の方は、年齢を確認できるもの(運転免許証、健康保険証等)をご持参ください。
・障害者手帳をお持ちの方は、手帳をご持参ください。

主催

埼玉県立近代美術館、NHKプロモーション

後援

NHKさいたま放送局、テレビ埼玉

協力

豊田市美術館、JR東日本大宮支社

《伊勢えび》1982年 豊田市美術館蔵

《吊った唐辛子》1963年 豊田市美術館蔵

《かぶの花》1976年 豊田市美術館蔵

《アネモネ》1969年 豊田市美術館蔵